昨日からの続編だ。
昨日のをまだ読んでいない人はそちらからどうぞ。
これは忘れもしない中3の夏。
何の縁かわからないが、うちで今もっとも生徒数の多い照葉中で、あの悲惨な事件は起きた。
初めて訪れた照葉中学校。
当時はまだできて3年目ぐらいだったので、近代的でめちゃくちゃ綺麗な学校だなぁという印象を受けたのを覚えている。
会場についてからトイレを探すのは僕のルーティンワークだったので、いつも通りトイレを探す。
トイレももちろん綺麗。
まだこの時は、これから起きる悲劇のことも知らずに、
「ああ、ここなら落ち着いてできるなぁ。」
とか、ウンコだけにクソどうでもいいことを考えていた。
そしてここまでは何事もなく始まった練習試合。
中学生の試合は基本的に前後半それぞれ25分で行われる。
前半の25分は何事もなく終わる。
あの事件のインパクトがすごすぎるので、結果は全く覚えていないが、引き分けか1点差ぐらいだったんじゃなかろうか。
そして試合はそのまま後半へ。
後半開始早々、僕は自分の体の中で起きているある異変に気づく。
いや、まさかそんなはずはない。
大事な試合中なんだぞ?
あってたまるものか。
だが時間の経過と共に、その異変を無視できなくなってくる。
そんなはずはない、そんなはずはないと自分を言い聞かせていたのだが、僕はもうその異変から目を背けられなくなっていた。
ああ、これあれだわぁ。
ガチなやつだわぁ。
腹が痛い。
この時点で試合の残り時間は推定15分。
かつて中1の時に、途中で怪我をして「試合よ早く終われー!」と願いながらプレーを続けた時もあった。
その時は試合後に病院に行くと足の骨が折れていたので、試合が早く終わって欲しい気持ちがかなり強かった。
それでも、この腹痛の時の方が早く試合が終わって欲しい気持ちが強かった。
サッカー人生の中で、これほどまでにサッカーが時間制のスポーツであることを恨んだことはないだろう。
5点差ついたらコールドにしようぜ。
何度考えたろうか。
高校時代に、サッカーの試合中、
「すみません、お腹が痛いんで一旦抜けます!」
って叫んでフィールドを飛び出したツワモノもいたが、中学時代の僕にそんなことをするだけの度胸と勇気はなかった。
そんな僕に残された選択肢はただ一つ。
試合が終わるまでただただ我慢すること。
いろんなことを考えているうちに、試合時間も推定残り10分。
ただ、僕のお腹の中のブツもジワジワと下に下がってきているのがわかる。
試合中にうんこを漏らしたともなれば、中学校でこれまでに気づきあげた僕の評判はだだ下がりだ。
せっかくカッコつけて生きてきたのに。
少なくとも僕の残りの中学校生活はウンコマンとか言われてバカにされるだろう。
ああ、これからキャラ変して生きていかないといけないのか。
試合終了のホイッスルが先か。
それとも僕の中学校生活終了のホイッスルが先か。
まあその時はそんなことさえどうでもよく、とにかくウンコを我慢することだけを考えていた。
確実に、人生でもっとも長い10分間だった。
今日は時間がきたので、ここまでにしよう。
明日に続く。